翻訳後にDTPが必要となる3つの理由とDTPサービスの注意点
グローバル化に伴い、海外企業と取引する国内企業では、取引先へのメールからマニュアルをはじめ、さまざまなドキュメントを翻訳する機会が多くなりました。
そのうち、製品カタログや契約書などのドキュメントの翻訳を翻訳会社へ依頼する際、“DTP”という言葉を耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。しかし、「DTPの意味をよく分かっていない」「必要性について詳しく知らない」という方も少なくありません。
この記事では、印刷物やPDFといった特定のドキュメントの翻訳を依頼する際に知っておきたいDTPの意味のほか、製品カタログや契約書の翻訳でDTPが重要とされる理由を詳しく解説します。
目次[非表示]
- 1.DTPとは
- 2.特定のドキュメントの翻訳後にDTPが必要とされる理由
- 3.翻訳DTPサービスを依頼する際の3つの注意点
- 3.1.①対応する言語を確認する
- 3.2.②サービスの対応範囲を確認する
- 3.3.③翻訳の実績があるか確認する
- 4.まとめ
DTPとは
DTPとは、パソコン上でドキュメントのデザイン・レイアウト・編集などの作業を行うことです。“Desktop Publishing(デスクトップ・パブリッシング)”の略称で、日本語では“机上出版”や“卓上出版”と呼ばれています。
たとえば、製品カタログや契約書といった印刷物や、Webページ上に掲載するPDFの資料など、特定のコンテンツの翻訳を依頼する場合、翻訳後にレイアウトの編集が必要となることがあります。
そのような場合、従来は紙面のデザインや原稿・写真のレイアウト、版下作成、製版の作業などを分担して行っていました。
しかし、現在はこれらの作業がコンピュータ上で完結できるようになりました。そのため、翻訳会社によっては、翻訳後のDTPまで依頼することが可能です。
DTPの作業では、主に下記のツールが使用されます。
▼DTPの作業に使用されている主なツール
- Adobe Illustrator(イラストレーター)
- Adobe Photoshop(フォトショップ)
- Adobe InDesign(インデザイン)
- Microsoft Word(ワード)
- Microsoft Excel(エクセル)
- Microsoft PowerPoint(パワーポイント)
翻訳されたチラシやポスター、雑誌、パンフレットなどの多くは、翻訳後にDTPの作業を経てつくられています。
特定のドキュメントの翻訳後にDTPが必要とされる理由
先述のとおり、製品カタログや納品書に代表される印刷物やPDFなどのコンテンツの翻訳を行う際はDTPが必要となることがあります。ここからは、特定のドキュメントの翻訳後にDTPが必要な3つの理由を解説します。
①ページ数の調整
DTPは、翻訳後のページ数の増減を調整するために必要です。
日本語から外国語への翻訳、またはその逆を行う場合、文字数が増減します。文字数が増減することでドキュメントのページ数が変わるため、原本のレイアウトと異なる仕上がりになってしまいます。
DTPでフォントサイズや余白など全体のデザインを調整すれば、原本のレイアウトやイメージに近づけることが可能です。
②フォントの変更
文章を日本語から外国語に翻訳する場合、DTPによってフォントの変更を行います。
フォントの種類によっては、一部が文字化けしてしまうケースもあります。たとえば、中国語や台湾語で使われる漢字は、日本語と同じ意味でも字体が異なるものがあり、対応できないフォントもあります。
フォントが揃っていないドキュメントは見た目が悪くなるため、DTPで適切なフォントに変更してビジュアルを整えます。
③レイアウト調整
DTPで、読みやすいレイアウトに仕上がっているかの確認・調整が可能です。
たとえば、写真や図が文章中にある場合は、行間や改行位置の確認をします。改行する位置は、英語やタイ語など、言語ごとに異なるルールに合わせた調整が必要です。
しかし、機械で翻訳した文章を貼りつけただけでは、レイアウトが崩れる可能性があります。また、対象言語の改行ルールを把握していないまま作業してしまった場合、文章の意味が変わってしまうことも懸念されます。
正確な内容のドキュメントに仕上げるためには、DTPで慎重な確認・調整を行うことが重要です。
翻訳DTPサービスを依頼する際の3つの注意点
翻訳DTPサービスを依頼する際には注意点もあります。ここでは、どのようなことに気をつければよいか、注意点を3つ紹介します。
①対応する言語を確認する
翻訳会社へ依頼する際は、翻訳したい言語に対応したDTPサービスを提供しているか確認することが重要です。多言語翻訳を行う翻訳会社でも、対応している言語すべてにDTPサービスを提供しているとは限りません。
スペイン語はA社、アラビア語はB社というように、別々の翻訳会社へDTPサービスを依頼した場合、品質に差が生じる可能性が考えられます。複数の翻訳会社に依頼することで、手間やコストが増える可能性もあるため、一社にまとめて依頼することもポイントです。
また、今後新たな地域への進出を検討している場合は、その言語に対応したDTPサービスを提供する翻訳会社を選定しておくこともおすすめです。
②サービスの対応範囲を確認する
事前にDTPサービスの対応範囲を確認しておくことも大切です。翻訳会社によっては、対応範囲がテキストレイアウトと画像配置のみの場合があります。
製品カタログやマニュアルなどを制作する際、説明文にイラストを挿入することがあります。その際、イラスト制作はデザイン会社、翻訳とレイアウトは翻訳会社というように別々に発注すると、納期に影響を及ぼす可能性も考えられます。
このような場合でも、事前に翻訳会社の対応範囲を把握しておけば、スケジュールを立てやすくなります。
③翻訳の実績があるか確認する
翻訳の実績がある会社かどうか、国際規格の取得の有無を参考にして確認することも重要です。
国際規格“ISO17100”は、翻訳プロセスや品質管理、翻訳に関わる人の資格および力量について規定しています。ISO17100を取得している会社は、高品質な翻訳サービスが保証されます。
また、翻訳には、技術・医療・法律・ITなど、さまざまな分野の専門知識が必要です。翻訳したい分野に対応しているかどうかを、合わせて確認することも大切なポイントです。
まとめ
この記事では、翻訳におけるDTPの重要性について、以下の項目で解説しました。
- DTPとは
- 特定のドキュメントの翻訳後にDTPが必要とされる理由
- 翻訳DTPサービスを依頼する際の注意点
製品カタログや契約書をはじめ、内容や見た目のイメージが大切なドキュメントの翻訳においては、DTPが必要となるケースがあります。
翻訳DTPサービスを依頼する際は、言語やサービスの対応範囲はもちろん、翻訳の品質管理を保証する国際規格を取得しているかを事前に確認することが大切です。
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