プロから見たネイティブチェックの不可欠性
この記事では、翻訳を通じたビジネスコミュニケーションに欠かせない「ネイティブチェック」の重要性とその方法について解説します。翻訳だけでは不十分な点、ネイティブチェックが求められる理由、そしてネイティブチェックを適切に行うためのポイントについて実際の誤訳例も交え、詳しく説明します。
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ネイティブチェックとは
ネイティブチェックとは、その言語を母国語として話す人(ネイティブ)による文章のチェックのことを指します。
主に、翻訳された文章に対してネイティブが読んで違和感のない自然な表現になっているかをチェックします。このプロセスによって、言語そのものの意味だけでなく、翻訳言語が使われている地域や文化に沿って情報やニュアンスを正しく伝えることが可能となります。
日本語から英語への翻訳の場合
翻訳とネイティブチェックの違い
翻訳は「ある言語(A)を別の言語(B)に置き換える」作業です。原文の意味や情報をできるだけ正確かつ適切に伝えるために、言語間の文法や語彙についての専門知識が欠かせないプロセスです。
一方でネイティブチェックは「その翻訳(B)がネイティブにとって自然な表現であるかを確認する」作業です。つまり翻訳が言語変換のプロセスであるのに対し、ネイティブチェックはその結果の評価が主な目的となります。
ネイティブチェックの重要性
ネイティブチェックは、自然で理解しやすい文章作成のためには欠かせない作業です。翻訳者がネイティブでない限り、細かなニュアンスや表現の自然さなどを完全に再現することは困難です。さらに、翻訳した文章を読む対象(ターゲット)が、原文に含まれているメッセージを正確に理解することができるかを確認するためにも重要です。このため、ネイティブチェックは高品質な翻訳を完成させるための必須ステップとなります。
ネイティブチェックを十分に行わなかったことが原因で起きてしまった誤訳例をご紹介します。
2019年に大阪メトロが公開した英語版サイトでの表記です。とても有名なのでご存じの方も多いのではないでしょうか。「堺筋線(さかいすじせん)」を「サカイマッスルライン」、「御堂筋線(みどうすじせん)」を「ミドウスジマッスルライン」と翻訳されてしまっていたことが話題になりました。
本来は「堺筋」「御堂筋」という固有名詞に路線を意味する「線」が付いた単語ですが、機械翻訳が「筋」の部分を「筋肉」と理解してしまい「マッスル」と訳出されたことが原因です。もし機械翻訳をかけたあとにネイティブチェック(本件の場合は日本人の翻訳者によるネイティブチェック)を行っていれば、間違いなく見抜けた誤訳だったでしょう。
ネイティブチェックを行う際のポイント
ネイティブチェックを行う際には、「文法的な正確さ」だけでなく、「その国の文化や習慣に合う表現になっているか」「文章全体が適切なトーンとスタイルで書かれているか」など、総合的な視点でチェックする必要があります。英語の場合はアメリカ英語なのかイギリス英語なのか、スペイン語の場合はヨーロッパ向けなのか南米向けなのかなど、翻訳した文章を読む対象(ターゲット)を想定したネイティブチェックが必要です。言語は文化や社会背景と密接に関連しているため、これらを考慮して翻訳・チェックをすることで、より自然で適切な文章を作成することができます 。
ネイティブチェックの依頼方法
ネイティブであれば誰でもネイティブチェックができるのではない点には注意する必要があります。翻訳された文章を修正するという視点において、正しい文法知識や文章表現に関する知識・高い文章校正能力が求められます。専門性の高い文章や学術論文などのアカデミックな文章を扱う場合は、対象分野についての専門知識も必要です。
そのため、ネイティブチェックはプロの翻訳者やチェッカーに依頼する方法がよいといえるでしょう。
まとめ
この記事では、ネイティブチェックについて以下の内容を解説しました。
ネイティブチェックとは
翻訳とネイティブチェックの違い
ネイティブチェックの重要性
ネイティブチェックを行う際のポイント
ネイティブチェックの依頼方法
ネイティブチェックは高品質で自然な文章を作成するために重要なステップです。ネイティブによるチェックを経た文章は、読み手にとって自然な表現となり、正確にメッセージを伝えることが可能になります。
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